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[Blender] Sheep it Render Farm がすごい

これは Blender Advent Calendar 2017 3日目の記事となります。昨日は uimac さんで、CyclesのDenoise でした。


さて、今日は、Sheep it Render Farm を紹介したいと思います。これは、blenderのレンダリングに使える無料のレンダーファームです。

これを使うと、ボランティアで参加している世界の300~600台程度のマシンで並列レンダリングを行うことができ、短い時間でレンダリングを完了させることができます。


各種レンダーファーム比較

手元にあった 5colors_melo_021_50samples.blend をレンダリングした結果を貼ってみます。それぞれのレンダーファームについて、各1回実行しました。

レンダーファーム名 実経過時間 累計レンダリング時間 料金 DL所要時間 (参考)
Sheep it 25分 (※1) 1日6時間2分 FREE!! 49分5秒 (506MB)
RebusFarm (CPU) 5分 4時間4分 $7.36 10分 (511MB) (※3)
RebusFarm (GPU) 8分 1時間17分 $5.87 (※2) 同上
GarageFarm.NET (優先度高) 6分11秒 5時間39分57秒 $20.55 19分53秒 (511MB) (※3)
GarageFarm.NET (優先度中) 8分35秒 5時間17分15秒 $10.29 同上
GarageFarm.NET (優先度低) 36分11秒 5時間23分20秒 $6.82 同上
Render Street (CPU) 33分0秒 3時間38分 $10.88 1分8秒 (506MB)
Render Street (GPU) 13分37秒 3時間43分 $16.69 同上
Render Street One 4時間33分 4時間7分 $50/月額 同上
blendergrid 2時間13分 不明 $8.81 20分59秒 (511MB)
GTX 1060 6GB (参考) 6時間28分 左に同じ PC代 + 電気代

※※ 実経過時間、DL所要時間はサーバーの混雑度や環境に大きく依存するため、参考程度に見てください。
※1 Sheep it では、所有するcredits(後述)の値によってレンダリングの優先度が変化するため、実経過時間も増減します。
※2 GPUレンダリングがBeta版のため半額セール中でした。
※3 レンダリングが完了したフレームからダウンロードされるため、レンダリング完了からダウンロード完了までの時間はこれよりも短くなります。

実際に自分が過去に制作したものを他の有料レンダーファームでレンダリングしようとすると、数十万~数百万掛かってしまう計算になります。これを無料でレンダリングできるというのは、とても有り難いことです。

なお、ダウンロード時間は環境によって非常に変化しやすいため、参考程度にお願いします。


credits とは

自分のマシンで他人のプロジェクトをレンダリングすると取得できて、他人のマシンで自分のプロジェクトをレンダリングしてもらうと消費されるポイントです。

取得できるポイントは、レンダリング時間(分)と、レンダリングに用いたマシンの性能を数値で表したものを掛けて、さらに 10 を掛けた値となります。消費されるポイントは、先程の式の 10 を 4 に変えたものとなります。つまり、自分のマシンでレンダリングした量の約2.5 (=10÷4) 倍だけレンダーファームでレンダリングすることができると言えます。


Sheep it のメリット

  • 速い
  • 安い
  • 綺麗(ぉぃ

メリット1:速い

世界の数百台のマシンが使えるのですから速くないわけがありません。


メリット2:安い

無料です! 完全に無料!! でもカンパは募集中です。サーバー代は結構掛かるらしいです。


メリット3:綺麗

cycles renderはとても綺麗!

しかもレンダリングが速いからサンプルを増やせる!!


Sheep it のデメリット

そんなSheep itにもデメリットはあります。結構あります。以下にその一部を挙げてみます。

  • 製作中のものが他人に知られてしまう
  • レンダリング結果のダウンロードが遅い
  • スクリプトは使えない
  • 最後の1フレームのレンダリングが遅い
  • レンダリング所要時間が混雑具合に依存

以下でそれぞれについて説明していきます。


デメリット:製作中のものが他人に知られてしまう

Sheep it のクライアントでは、最後にレンダリングされた画像が表示されるようになっています。

このため、プロジェクトをレンダリングした人には制作物を見られてしまう可能性があります。さらに、レンダリング時に一時ファイルとして.blend が生成されるため、 .blend ファイルが他人の手に渡ってしまうことも十分考えられます。従って、商業制作や、秘匿性の高い制作では利用が難しいでしょう。ただ、あくまでレンダリングを行っているユーザーに知られてしまうだけですので、制作物がwww上に勝手に公開されるというわけではありません。


デメリット:レンダリング結果のダウンロードが遅い

他の有料のレンダーファームと比較すると、回線速度が遅く(※環境によって異なる場合があります)、レンダリング結果の取得に時間が掛かってしまいます。このため、Sheep itのメリットであるレンダリングの速さがやや殺されてしまいます。可能であれば、カンパをしてサーバーが増強されるのを祈るのも良いと思います。


デメリット:スクリプトは使えない

Blender の便利な機能として、スクリプトが使えるというものがあります。ですが、Sheep it ではセキュリティ上の理由からスクリプトが使えません。Animation Nodesなどのプラグインも使えなくなってしまうため、キーフレームに変換したりするなどの作業が必要になります。

作業時のみ有効化されていれば良いプラグインは もちろん使うことができます。


デメリット:最後の1フレームのレンダリングが遅い

様々な性能のマシンがレンダリングに参加しているため、性能の低いコンピュータに割り当てられたフレームは、レンダリング完了するまでに時間が掛かってしまいます。このため、最後の数フレームのレンダリングに長い時間が掛かってしまうことがあります。

必要であれば、レンダリング中のフレームを手動でリセットし、他のマシンに割り当てることもできます。


デメリット:レンダリング所要時間が混雑具合に依存

プロジェクトがレンダリングされる順番は、所有している credits(上記)の量に依存します。credits を多く持っているユーザーほど優先的にレンダリングが開始されます。従って、credits を自分より多く持っている他のユーザーがレンダリングを行っていれば、自分のプロジェクトがレンダリングされる順番が回ってくるのは遅くなるでしょう。

なお、自分自身は自分のプロジェクトを優先的にレンダリングすることができます。(このため、ネットワークレンダリングの代替として用いることも可能です。)


まとめ:Sheep it はこんな人にオススメ!

  • 年に1~2回しか映像作品を作らない人
  • 締め切りの3日前に映像作品を作り始める人
  • 趣味で作品を作っていて、作っているものが他の人に見られても困らない人
  • 自宅のグラボを持て余している人

明日は km_boo さんで、 簡易自動揺れものリグを作るよ! です。お楽しみに。