同じ色に見える光でも、同じ光ではないことがある。
二種類の同じ色のライト
ここに、ほとんど同じ色に見えるオレンジ色のライトが二種類ある。一方は秋葉原のピカリ館で買ったオレンジ色の発光ダイオードであり、もう一方は 24 色タイプのペンライトの色をオレンジ色にしたものである。
ライトに照らされたフルーツの色はどうなるか
これらのライトで他の物体を照らすとどうなるだろうか。
このフルーツを照らすと、それぞれ以下のようになった。
(※これらはカメラによって撮影された画像のため、実際の見え方とは異なる場合があります。また、カメラのホワイトバランスの自動調整により、色味に若干のブレがある可能性があります。)
前者はオレンジ色の世界なのに対して、後者は赤、黄色、緑がはっきりと区別できる。このような違いが出るのはなぜなのか?
光のスペクトルと反射光の見え方
オレンジ色の発光ダイオードは、単一の波長の光しか放出しない。
そのため、オレンジ色の発光ダイオードでフルーツを照らしても、その波長の光をどれくらい強く反射するかという、一次元の濃淡(グレースケール)の情報しか目には届かない。
一方で、ペンライトの中には、赤、緑、青の発光ダイオードが含まれている。これらの波長の光を組み合わせることで、ペンライトは様々な色を表現している。
オレンジ色の光は、少なくとも赤と緑を組み合わせることによって作ることが出来る。このように「赤い発光ダイオードから放たれる光」と「緑色の発光ダイオードから放たれる光」が重なり合っている光の場合、それがフルーツの表面に当たると、「赤をどれくらい強く反射するか」という成分と、「緑をどれくらい強く反射するか」という成分が目に情報として届く。このような二次元の広がりを持った色の空間は、グレースケールの視界よりも、人間にとってより識別しやすいものになる。
ペンライトの明かりでカバンの中身を探すとき、赤や青のライトでは探しづらく、オレンジや水色のライトでは探しやすいのは、この 2 次元(または3 次元)の色の広がりが理由になっているのである。
(赤いペンライトの光は、単一の波長の光しか持たないため、一次元の広がり(濃淡)しか表せない。)
なぜ違うスペクトルの光が同じオレンジ色に見えたのか?
では、なぜ異なるスペクトルを持つ「オレンジ色発光ダイオード」と「ペンライトの光」が同じような色に見えたのだろうか。これは、錐体細胞が~~~~(中略)~~~分光感度に応じて~~~~(中略)~~~刺激を脳に~~~~(中略)~~~なのである。
詳しくは各自で調べてください。また機会があったら記事を書くかもしれません。
3DCG ではトンネルの中を表現できない理由
3DCG においては、赤、緑、青の光の強さを用いて、3 つの成分で光を表している。一般的な 3DCG では、かつてトンネルで多く使われていた低圧ナトリウムランプのような単波長の光をそのまま表現することができない。このため、オレンジ色のライトが当たったオブジェクトの見え方は、現実世界において低圧ナトリウムランプで照らした場合のそれとは一致しなくなってしまうのである。(ただ、グレースケールでレンダリングして After Effects で色を付ければよいだけなので、これが特段に困るということでもない。)
また、他にも、光のプリズムなどについても標準的に使われている 3DCG の仕組みでは完璧には再現できない。光の分散を近似的に再現すると、たとえば以下のようになる。
光のスペクトルが生み出す不思議な宝石
また、他にも面白い話がある。
「アレキサンドライト」を代表として、光源によって色が変わる石というものがある。これも、アレキサンドライトが黄色を強く吸収するという特徴的な吸収スペクトルを持っていることが理由である。
現実世界の光が、赤、緑、青という 3 つの成分だけではない、より豊かなスペクトルを持っているからこそ、起きる現象なのである。
今後の展望
- 「なぜ違うスペクトルの光が同じオレンジ色に見えたのか?」の説明記事
- オレンジ色のセロハンを通過させた太陽光や白熱電球でのフルーツの見え方の検証
- 平成時代のリアルなトンネル内シーンのレンダリング&コンポジットテクニックの解説
- スペクトルを用いたアレキサンドライトの解説
これらは今後の課題としたい。(※つまり、やらないということです。)
関連動画
単色光による不思議な世界について、詳しく解説されています。
(※蛍光は変色効果とは異なります。)










